現役耳鼻咽喉科医の病気解説4:嗅覚障害は謎が多い!?


みなさまこんにちわ✨

本日の耳鼻科疾患解説は嗅覚障害を取り上げてみたいと思います

嗅覚障害とはざっくり言うと、匂いを感じにくくなる/感じなくなること

最近のニュースでコロナウイルスの初発症状として報じられ、かなり有名になったのではないでしょうか

実際に海外では、コロナウイルス感染で嗅覚障害をきたす割合は高いというデータがあります

嗅覚障害は同じ感覚系の聴覚や視覚に比べてマイナーで、まだまだ研究が進んでいないと言われいます。そのため、あまり情報が多くなく不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は嗅覚障害の疑問について自分の知っていることをお話ししようと思います

嗅覚障害のギモン

嗅覚障害の原因

嗅覚障害の原因トップ3は鼻副鼻腔疾患、感冒後、外傷と言われています

鼻副鼻腔疾患とは具体的に、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎(花粉症)などのこと

人間は匂いを鼻の上の方にある嗅神経・嗅粘膜というところで感じているのですが、副鼻腔炎でポリープがあったりアレルギー鼻炎で鼻粘膜が腫れていると匂いの分子がそこまで到達できないのです

感冒後の嗅覚障害は、文字通り風邪を引いた後に匂いがわからなくなること

一度は経験がある人も多いのではないでしょうか

風邪のウイルスによって嗅粘膜が障害されることによって起こり、一般的には鼻副鼻腔疾患による嗅覚障害よりもきついことが多いです

恐らくコロナウイルスでの嗅覚障害も同じようなことが起こっているのだと思います

通常、感冒後の嗅覚障害は通常40歳以降の女性に多いと言われています

外傷後の嗅覚障害は交通事故や転倒などで顔や頭を打った後に嗅覚障害を起こすこと

きつい外傷によって嗅糸という匂いの神経が切断されたりすることで起こります

これもかなりきつい嗅覚障害を起こし全く匂いがしなくなったという人も経験しました

感冒後や外傷後の嗅覚障害は回復に1-2年と長期間かかり、回復の程度も満足いく程度まで回復しないこともあります

また、最近では加齢と嗅覚障害の関係が言われているので少しまとめました⏬

加齢と嗅覚障害

実は嗅覚は30歳をピークに減少することが知られています

目や耳と同じように鼻も年をとるのです

海外の報告では80歳以上の4人に3人は嗅覚障害があるとも 

これは嗅細胞が年をとってターンオーバーしなくなることに起因していると言われています

つまり高齢者の場合はコロナウイルスの症状で嗅覚障害は起こしにくいのではないでしょうか。(完全な個人的な考察です。間違っていたら全力で申し訳ありません。)

さらに、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の初発症状とも指摘されており今後さらに知見が広がって行くことを期待しています

嗅覚障害の治療

まず副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの物理的な閉塞に関しては、それを取り除くことで嗅覚は著明に改善します

鼻のポリープの手術をして「匂いが分かるようになった!」と喜んでくれるのは耳鼻科医の喜びトップ10には入っていることでしょう

それ以外の原因での、嗅覚障害の治療は副腎皮質ホルモンの点鼻や内服が主流です。ステロイドによって嗅神経の炎症を抑えるためですね

ただ、あまりにも時間がたち過ぎていると神経は元に戻らないので2週間以内、遅くとも1ヶ月以内には治療をした方が良いと思います

自分は時間が経ってしまった、ステロイドで良くならなかった嗅覚障害に対しては「当帰芍薬散」という漢方薬を処方しています。意外と効くよって声が多いので、ある程度は効果があるのではないかと考えています

まとめ

  • 嗅覚障害の三大原因は鼻副鼻腔疾患、感冒後、外傷
  • 加齢とともに嗅覚障害は起きやすくなる
  • 治療は可能ならば閉塞の除去、ステロイド治療が主流

最後まで読んでいただきありがとうございました

最近話題になっている嗅覚障害について自分なりにまとめてみました

参考にしていただけますと幸いです

もっと詳しく聞きたいという方はコメントでもツイッターのDMでもお知らせいただければお答えさせていただきます

それではまた次回!

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