現役耳鼻咽喉科医の病気解説1:突発性難聴になったらどうする!?


現役耳鼻咽喉科が解説する病気シリーズを始めました

自己紹介の記事でも書いたように、患者さんが疑問や不安に思う点をできるだけ専門用語を使用せずに説明していきます

第一回目は「突発性難聴」 

文字の通り突然耳が聞こえなくなる/聞こえにくくなる病気です

病気の名前は聞いたことがあるし、芸能人が発症したというニュースを耳にしたこともある人は多いのではないでしょうか

でも詳しくはよく知らないという方は多いと思います

この記事では突発性難聴について、僕が実際に患者さんからいただいた疑問をもとに解説を行います

突発性難聴について知りたい、もしかして発症した!?と不安に思っている方は是非記事を最後まで見ていただき理解を深めていただければ嬉しいです!

突発性難聴の疑問

① 発症率

日本人の突発性難聴の発症率は3000人に1人と言われています

そう聞くと意外に少ないな?と思われる方も多いですよね

しかしこれは実際に病院で診断、治療された数なので実際は間違いなくそれ以上の患者さんがいるはずです。実際に外来をしている中では2,3日に1回は新規の患者さんがやってくるような印象ですね

② 症状

突発性難聴の典型的な症状は

突然

片方の耳が

「聞こえにくくなった」 軽症では「耳が詰まった感じがする」

それに加えて重症例では立っていられないほどのめまい、耳鳴りが起こします

なので例外はありますが「徐々に」 「右も左も聞こえにくい」方は突発性難聴の可能性は高くないと考えてください

③ 原因

一言で言えば未だに原因不明です

耳の奥の血流不全やウイルスが原因などと考えられていた時期もあったようですが、現在は原因はよくわかっていないというのが主流です

しかし突発性難聴の一種で、特に若い女性に発症することの多い「低音障害型感音難聴」(低音部だけの突発性難聴)はストレスや疲労が原因とされております

ちなみに、今後詳しくまとまるつもりですがメニエール病という病気があります。これも同じくストレスや疲労が原因とされている病気で典型例では「めまい」と「低音部の難聴」をきたします。

一番の違いはメニエール病は繰り返すということ

低音部感音難聴をくり返す人はメニエール病と診断し治療を行うことが多いです

④ 受診のタイミング

心からのお願いです!遅くとも2週間以内に受診をしてください!

発症すぐに治療した人と1週間後に治療した人で治療成績があまり変わらなかった報告があり、また自然治癒することも多いことを考えると

個人的には軽い耳つまり感、違和感くらいの方は1週間は様子を見てもいいと思います

しかし症状が持続する人は遅くとも2週間以内に受診をしてください!(繰り返し!)

⑤治療方法

突発性難聴の治療はとくにもかくにもステロイドです

実はなぜ効くのかはわかっていないが経験的に効果があることが知られており古くから使用されてきました

軽症例ではステロイド内服治療

中-重症例では施設にもよりますが7-9日間程度のステロイド点滴を行います

✴︎糖尿病の方はステロイドにより血糖値が上昇するため入院治療になることが多いです

⑥ 予後

突発性難聴は治療なしの場合

約40%が治癒 約40%が少し改善 約20%は変わりなし

しかし適切なステロイド加療により治癒例は実感では60%以上です

発症後2週間以上の症例,高度難聴例,めまいを伴う,糖尿病がある人は治りにくいとされています

まとめ

  • 発症率は3000人に1人
  • 症状は「突然」「片方の耳が聞こえにくい」「片方詰まる」「めまいがする」など
  • 原因は未だに不明
  • 遅くとも2週間以内、可能であれば1週間以内に受診を
  • 治療はとにかくステロイド
  • ちゃんと治療すれば少なくとも40%以上の人は治癒する

最後まで読んでいただきありがとうございます!

いかがだったでしょうか?得体の知らなかった「突発性難聴」という病気を少し知っていただけたのではないかと思います。

まだわからないこと、詳しく説明してほしいという方はコメントもしくはツイッターにて質問いただけましたら返答させていただきます。よろしくお願いします!

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